生活を支えるということ
福山地域の訪問にまわらせて頂いています。作業療法士の山久と申します。
作業療法士や理学療法士、言語聴覚士等の仕事といえば、リハビリです。でも、リハビリって誰が何の為にするの?と考えたとき、療法士が患者様の為にするわけではなく、患者様自らが、自分がよりよい生活を送る為に取り組むものだと思います。私たちはそのお手伝いをすることが仕事です。
病院でのリハビリは退院という目標の為に、身体機能の向上を目指すということが一番の目的となり、その為の訓練や動作練習を行います。では自宅では?もちろん、同じようなことも行っていきます。ですが、それだけで豊かな生活を送ることができるでしょうか?生きていくことって、結構大変ですよね((+_+))
私が担当しているご利用者様に、物事を決めることが少し苦手な方がいらっしゃいます。パーキンソン病という難病を抱えられている方なのですが、ある日、病院の先生に、脳の手術を勧められました。イラストのように、脳に電極、本体を胸の辺りに埋め込みます。現在は治すことはできない病気ですが、進行を遅らせ、今よりは体が動かしやすくなる可能性のある手術です。可能性があるというだけで、絶対良くなるという保証はありません。もちろん、とても悩まれました。自分では決めることができず、投げやりになってしまいそうになられることもありましたが、メリットとデメリットを一つ一つ一緒に確認し、手術を受けられた方の意見や感想を聞き、とにかく出来る限り情報を集め、少しでも可能性があるならと、手術を受けられることを決心されました。手術は無事成功し、以前よりも状態が良くなったことで、活動的に過ごされています。療法士のリハビリによって改善したわけではありませんが、そこに至るまでの過程で、一緒に悩み、考えてきたことによってもたらされた結果だと思っています。在宅でのリハビリは、単に機能の向上や動作の獲得だけでなく、精神的な悩みであったり、ちょっとした困り事の相談であったりと、生活全般を支えていくことです。時には専門的な知識よりも、雑学の方がよっぽど役に立つことだってあります。
自分の生きてきた人生、様々な経験が活かせて誰かの役に立つ。
訪問リハビリはそういう仕事だと思っています。